手術は濁った水晶体の中身を摘出し、代わりの人工レンズを挿入します。
目薬による局所麻酔をしますので痛みはほとんど無く、超音波で細かく破砕して水晶体の中身を取り出すので切開創も3㎜程度です。手術時間も20分程で終了します。
【白内障手術の注意点、合併症】
ただし、白内障が極端に進行している場合や水晶体を支えるチン支帯が劣化したり断裂したりしている場合には手術が困難な場合があり手術時間が長くかかることがあります。
そのような難症例の場合予め報告しておきますが、手術をやってみてチン支帯が劣化したり断裂したりしていることがわかることもしばしばあります。
そのような場合、超音波手術を継続すると水晶体内容物が下方の硝子体中に落下し、難易度の高い硝子体手術が必要になります。
そのため最初から水晶体嚢外摘出術 (ECCE) を行う場合や途中から変更する場合もあります(後述)。
また目の表面の透明な組織である角膜は裏面に角膜内皮細胞といった透明性を維持させるための重要な細胞があります。
超音波手術では角膜内皮細胞密度がおおよそ3~5%減少します。
多くは問題なることはありませんが、白内障が極端に進行している場合やもともと角膜内皮細胞の密度が低い場合には、角膜が混濁し角膜移植が必要になる場合があります。
そのため、そのような症例では超音波手術ではなくECCEを選択します。
感染症も危険な合併症です。めったにおこるものではありませんが、一旦感染症が生じると急速に悪化するため、対処が遅れると失明することもあります。
そのために術後はこまめに診察を受けることが必要です。
【小切開水晶体嚢外摘出術:小切開ECCE 】
ECCEとは超音波手術が行われる一時代前の手術です。
現在は超音波手術では切開創は3mmくらいですが、通常のECCEでは12~15mmと大きく切開します。そのため手術時間が30~60分とかかり、術後の乱視も大きくなります。
当院では特殊な小切開ECCEを行っています。切開創は7~8mmで水晶体核を引き出します。
手術時間は15分程度で角膜内皮細胞密度低下も軽微です。
【眼内レンズについて】
もともと水晶体は網膜にピントを合わせる役割があります。
手術で水晶体をとり除くと強い遠視になり、眼鏡で矯正するには非常に厚いレンズになるため見え方はあまりよくありません。
そのため白内障手術では同時に眼内レンズを挿入します。
通常の保険診療では単焦点レンズで焦点は一ヵ所しかありません。
微調節には、眼鏡が必要になります。
手術後の見え方については事前に患者様と相談いたします。
当院の過去10年間(2008年~2017年)の白内障手術の実績
西暦(和暦) | 件数 |
2008年 (平成20年) | 1,288 |
2009年 (平成21年) | 1,497 |
2011年 (平成23年) | 1,530 |
2012年 (平成24年) | 1,087 |
2013年 (平成25年) | 759 |
2014年 (平成26年) | 887 |
2015年 (平成27年) | 981 |
2016年 (平成28年) | 1,291 |
2017年 (平成29年) | 1,203 |
過去10年間の合計 | 11,803 |